ビルとビルの隙間におっさんが挟まっていた話

投稿者:しんさん        2017/02/04

ビルの隙間におっさん

突然ですが、なんだかよくわかんないけどビルの隙間におっさんが挟まっていた話をさせて下さい。
タンスにゴン。
車にポビー。
そして、
ビルの隙間におっさん。

あれは何年か前の春のことでした。

それは何年か前の春、友人たちと花見に行った時のことです。
たしか駒澤公園だったでしょうか。

昼間から花見をしながら飲んで、日も落ちて寒くなって来たので

  • 飲み屋に移動しよう

という話になりました。

飲み屋を探して駅付近を歩いていると、ふと、ビルとビルの隙間に目が行きました。
ビルというと語弊があるかもしれません。建物と建物の隙間とでも言うのが正しいでしょうか。

ビルとビルの隙間に見える人影が…

目が止まった「隙間」はわりかし狭いといいますか、人がなんとか一人立っていられるかなくらいのスペース感でした。

そこに何やら人影のようなモノが見えました。
男性?女性?
そうです、あれはおっさんです。

なんていうか「居る」という感じじゃなくて「挟まっている」という形容がふさわしい光景でした。

なんだかいったい何が起きているのかよくわかりませんでした。
普通ビルの隙間にネコは居ても、おっさんが挟まっているなんてことがこの法治国家日本で起こっていいはずがありません。

そのまま歩きながら友人に
「さっきおっさんが隙間にはさまってた」
とありのままを伝えました。

しかし、残念なことに酔っぱらいのたわごとだと思われて信じてもらえませんでした。
友人は悪くありません。お酒を飲み過ぎた私が悪いのです。

いったいおっさんは何をしていたのか、もとい、「なぜ挟まっていた」のでしょうか。
おっさんのなき今、いいえ、「挟まれて無き今」となっては想像することしかできません。

仮説:なぜおっさんは挟まっていたのか

真相はわかりませんが、なぜおっさんが挟まっていたのかをここで考えてみましょう。
人間は想像力を働かせることでのみ成長することができます。
そして、人が想像できる範囲のことは全て、いずれ実現可能な事なのですから。

たばこ吸ってた説

喫煙者もといおっさんには肩身の狭い社会になっていますね。
たばこを吸えるスペースというのも少なくなって来ています。

条例を破って路上喫煙することもできたでしょう。

でもそんな時、おっさんはビルの隙間に挟まれながらピースライトを吸うのです。
この世の中を平和の光が照らしますようにと。

用をたしていた説

おっさんはとってもトイレが近い人。
お酒を飲んだり体が冷えたりするとすぐトイレに行きたくなります。
仕方がないですね。おっさんですもの。

きっとトイレのあるところまで我慢することができなかったのでしょう。

それでも人として、おっさんとして最後の尊厳だけは守らなければ行けません。
「漏らす」などというフェータルトラジディは、プログレメタルバンドの歌詞の中であったとしても絶対におきてはならないことだからです。

だからこそ、おっさんはビルの隙間で用をたすのです。
おっさんのおっさんが零した涙が、日陰に咲いたあの花の糧になりますようにと。

建物の一部説

多様性が認められている現代、いままで誰も想像もしなかったような建築物が存在します。
想像した以上に騒がしい未来が僕らを待っているのです。

きっとあの建物を設計した建築デザイナーには大好きだった今は亡きお父さん、改めおっさんが居たのでしょう。

だから建築デザイナーはそこにおっさんのような物質を設置したのです。
おとおっさんがいつまでも僕達を見守っていてくれますようにと。

おっさんのようなネコ説

人類が多様性を持ったように、動物達もまた多様化しています。

そう、あれはおっさんではなくて、おっさんのようなネコだったのです。
私はネコに詳しくないのですが「オッサニャー」という品種がいたように思います。

でも、無責任な人間というのはいるものですね。
一度飼いはじめたネコを捨ててしまうなんて。

それでもネコは元飼い主のことが大好きで、ビルの隙間を巡りながら探していたのでしょう。
いつか元飼い主ともう一度会えますようにと。

おっさんの隙間にビルが挟まっていた説

人間というのは既存の価値観、モノの捉え方に無意識に固執してしまうところがあります。私もそうです。

だから私は
- ビルの隙間におっさんが挟まっている
と認識しましたが、本当のところは
- おっさんの隙間にビルが挟まっていた
のかもしれません。そうだ、そうに違いない。

むしろオセロの原理から考えれば、あれはビルでも建物でもなくて、
「おっさんとおっさんの間におっさんがいた」
ただそれだけのことだったのかもしれません。

おっさんが三人、おっさん達は40年来の友人です。
ずっと友達、だが時は経ち、変わりゆく街の中でともに育ち。
この街から力ため一からのスタートを切ったおっさんに幸あれ。

照れくさくて声に出しては言わないけれども彼らはおもっているのです。
俺たち3人は今も昔もこれからもずっとトモダチであるようにと。

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